2019年 09月 01日
トレンティーノ=アルトアディジェ州 旅行忘備録
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北イタリア、トレンティーノ=アルトアディジェ州へ行った。
ここはアルプス、ドロミテ渓谷の3000m級の山々の谷に街や村が点在し、第一次大戦後にイタリアになった州。
とてもミネラルが豊かでクリーンな味わいのワインを造り出するエリアでもあり
どんな所なのか、情報も少ないので益々興味を掻き立てられ、この州へ。
日本の秋晴れの日々が続いているような昼夜の寒暖差、
トレンティーノからボルツアーノへの道中は石灰質の土壌から、茶色を含んだ岩山(ポルフィド )にぶどう畑が広がり、そこは機械が入る余地のない急な斜面ばかり。
オオノで取扱のあるワイナリーの中でも厳選して6件のワイナリーへ。いずれのワイナリーもたくさんの言葉で説明してくださり、テロワール以上に人柄を感じるワインばかりだった。
『GINO PEDROTTI 』 一粒一粒愛情とプライドをかけて、ナチュラルなワインつくりを通している。この時感じたことを丁寧に伝えることが私の仕事である。
スキアーヴァが好きな『スズキ』と言う名の害虫がいるらしい。
『PRAVIS』はトレンティーノでありながら木なりのVino santoもつくっている(超希少)!!
日本ではまだほとんど情報がなかったPIVI(標高1300mでも栽培可)という冷涼なドイツで生まれたブドウでワインが造られていて、すでに20年前から栽培が始まっていたこと。
古代品種、franconia種 negrara種などはこの地でも存在を薄くしている。
『Kornel』白ワインの銘醸地と言われるテルラン近郊にある。紀元前の地層からぶどうの種が出土するくらい 葡萄栽培に適した土地なのだろう。いずれのワインもすっと舌に馴染む。この州のピノネロの美味しさを意識し始めた頃にお気に入りだったのを 再確認した時間だった。
『MURI-GRIES』どのワイナリーからも一目置かれる修道院ワイナリー。ボルツアーノ中心から徒歩でも行けなくもない場所にある畑は、温暖で湿度も感じるエリアでラグレインが植えられており、 おおらかな味わいだった。
『RADOAR』飲料水は買ったことがなく グラッパに加水する水もこだわり、湧き水をつかっている。2000m辺りで牛を飼い、季節限定で食堂も営業しているという。どうやって日々暮らしているのか?どんな食事?真冬は?質問ぜめにしたくなった。写真は標高 850mあたりの畑からの眺め。この背後の急な斜面に葡萄畑と栗林が広がっていた。
『PFITSCHER』畑に降り立つと海の香りがした。ムール貝の化石が出土するという。やはりドロミテは海底が隆起した所。今7代目で地下には博物館さながらの当時の道具とヴィンテージワインが美しくディスプレイされていた。山を意味するこのモンターニャ村はピノ・ネロの銘醸地でフィネスを感じる、じっくり熟成を待ちたい。
林檎の一大産地でもあり、あらゆる葡萄畑の合間に植えられているリンゴの木。木の形や実の成り方が、私が知っている日本の林檎の木とは違っていた。
シードルは自家消費されるらしく、ショップやレストランでも出会えず残念。でもりんごジュースは酸がたっぷりでさらり美味しかった。
さて、レストランでの食事も大事な勉強の時間。
定番の前菜はスペックという燻製された生ハム。それからポレンタのバリエーションの豊かさ。名物カネーデルリ(パンのお団子)はスープとともに出てきたのは一度だけで、バターと削ったチーズで仕上げられていたのがほとんど。これも予想を裏切られ、想像以上に美味しかった。
ポルチーニ茸やフィンフェルリ茸の香りの豊かさは日本では味わえない。とろとろ全粒のポレンタによく添えてあった。
デザートのリンゴのストウルーデルは、今まで作っていたレシピとはずいぶん違っていた。。。パスタマッタといわれる薄い生地をぐるぐる巻いたものではなく、どのレストランでもクッキーな生地で巻いて焼いてあった。
アルトアディジェ の料理は地味だけど滋味深い味わいの料理の数々。ぜひオオノでこれらのメニューが黒板にあったら、興味を持っていただきたいものだ。
最後に、初耳のチーズ、『マルガ』(標高2000メートルあたりで放牧した牛から造られるチーズで牛飼い、チーズ名、チーズの作り方の総称)の存在。いわゆるアルパージュで作られている。乳酸の香りがたっぷりあり、まだ若そうでしっとりしていた。この地でも希少なチーズだと教えてもらった。
美味しいチーズや農家製のものは輸出せず自家消費する、というイタリア人の精神のため、日本へのこのエリアのチーズの入荷は殆どなく、情報も少ない。
次回はマルガを見に行きたいものだ。
チーズに関しては、有名なチーズ熟成士のいるショップ『デグスト 』や日本未入荷のPuzzone di MOENAチーズ工場見学へ。塩水に浮かべられたチーズ工房内は目をも刺激するほど強烈にpuzza だった.出来上がったチーズは旨味があるセミハードチーズ。
これらの 感動をお客様にお伝えできたら。
明日からのメニューにも少しづつ登場いたします.
by unbretta
| 2019-09-01 13:26
| イタリア噺
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